history

Koquelaの始まりは、東北の伝統工芸品の調査でした。

東北地方だけに根付いた民芸品を学ぶことで、生まれ育った地域の特性を知りたいという想いからです。

 

伝統こけしは、宮城県出身の自身にとってはごくありきたりなものでした。親戚の家には必ずと言っていいほど伝統こけしが飾ってあり、あえて注目するまでもなく「ひなびた暮らしの一部」として東北に溶け込んでいるもの、という認識でした。

 

そんな伝統こけしに対する価値観を一変させたのは、調査に訪れたみやぎ蔵王こけし館で見た光景でした。習字の展覧会の様に壁一面に飾られた「こけし絵」に衝撃を受けたのです。鮮やかな描彩の美しさ、デザイン性の高さ。平面で見せられて初めて、伝統こけしの魅力に気づき、ときめきめいてしまったのです。 

出典:宮城伝統こけし館「こけし絵」

胴体の模様は、200 年以上の歴史の中でそれぞれ産地の風土に合ったものが残り、継承されてきたといわれます。この豊かなデザインを抽出したプロダクトを制作し、伝統こけしの新たな魅力を現代に発信したいと考えました。伝統こけしの美しさを知るきっかけ、そして現代におけるイメージアップに繋げられれば、産地は必ず豊かになる。時代と葛藤しながらも、自然の中で伝統を守り抜いてこられた工人さんの優しい顔が頭に浮かびました。

 

観光業で経済を盛り上げようとする日本にとって、地方の魅力度は日本の魅力度と行っても過言ではありません。その一方で、地方性を纏った、伝統工芸品は縮小傾向にあります。この現状を向上させ、地域振興、伝統工芸品の維持発展を何としても後押ししたいと考えました。Koquelaは、古き良き時代を彷彿とさせる伝統工芸品と現代とを結ぶ「架け橋」になりたいのです。

 

伝統工芸の復興、そして東日本大震災からの復興。このプロダクトに東北のいろんな想いを乗せました。東北の大自然から生まれた純度の高いデザインが、多くの人々に愛され、現代の豊かな暮らしの一部となることを心から願っています。